<二日目 その3>

 実はメモリアルシップ「八甲田丸」は前々から行きたいと思って
いた場所なので、結構期待していたりします。船の規模からして
見応えもありそうだし。そういうわけでいよいよ乗船。割とじっくり
目に船内を回ることになると思います。

入口には八甲田丸のロゴマーク

昭和の青森を模した風景が建ち並ぶ
 昭和30年代頃の青森の様子を再現した展示群をしばらく行った
後、続いて入ったのはシアターでした。シアターでは在りし日の青
函連絡船の航海映像が放映されています。またしてもちょうど映
像が始まるところだったので、見ていくことにしました。よくよく考え
ると、今日は午前中に青函トンネルの歴史を鑑賞し、午後にはそ
の青函トンネルに取って代わられた青函連絡船の歴史を鑑賞して
いるのか。結構面白いことになっています。
 昭和の青森ゾーンを抜けると、続いては青函連絡船に関連する
備品や資料などを展示しているゾーンです。写真は青函連絡船
の模型です。長く活躍した連絡船もあれば、就航開始から10年も
経たずに役目を終えた船もあるなど、その寿命はまちまち。ちな
みに八甲田丸は活躍していた期間が一番長く、23年間就航して
いました。
 グリーン船室がまるまる保存されているといるというブースにも
もちろん足を運びます。座席に腰掛け、大きく倒れるリクライニン
グに身を委ねると、グリーン席はかなり高かったでしょうが、それ
でも連絡船の旅はかなり優雅なものだったんだな〜、と。青函連
絡船が就航していた時代には生まれてすらいなかった自分が
言ってみました(笑
 さらにグリーン自由席の座席も展示されていました。先程のグ
リーン席と何が違うの?という感じですが、グリーン指定席が1人
掛けだったのに対して、こちらは2人掛け。それにシートピッチも
グリーン自由席の方が若干狭いという違いがあります。そして料
金設定もグリーン自由席の方が若干安めだったと推測できます。
ちなみにこの座席は羊蹄丸で使用されたもの。羊蹄丸といえば
つい最近まで東京で保存されていたことでも知られてますね。

八甲田丸は船に関係した展示だけじゃないのだ

青函トンネル関係の展示もあった
 青函連絡船は国鉄の管轄で、しかも北海道〜本州間の鉄道車
両の輸送もこの青函連絡船を使ってよく行われました。そのため
なのか、青森の鉄道に関係した展示も結構充実してました。写真
は連絡船がいた時代の青森駅周辺を再現したジオラマ。ボタンを
押すとナレーションが入ったり485系が行ったり来たりする感じで
す。ていうか、アスパムって連絡船の時代からあったんです
ね・・・。

船長室をちょっとだけ覗き見

現役時代に使われた案内板各種
 船長室の脇と記念切符や案内板が展示されているところを抜
け、4階の航海甲板へ。すると、今までは「博物館」にいるような
感じだったのが、一気に「船の中にいる」という雰囲気の場所にた
どり着きます。というわけで操舵室(ブリッジ)です。ブリッジの広
さとそこに存在する数々の機器類は、今までとは全く違う壮観な
雰囲気を醸し出しています。さすが船の心臓部。
 そんなブリッジの一角にはシミュレーションゲームもありました。
見た感じ結構年季が入ったゲームで、ファミコンにも似た雰囲気
でした。少しやってみましたが、一度もまっすぐ進むことなくゲー
ムオーバーって。。。

ファミコン世代には懐かしく感じるゲームかも

司令室には安全な航海を願うダルマ
 ブリッジからは展望ブロムナードに入ることができます。入れる
のは悪天候でない時限定です。結構微妙な空模様なので様子を
見ましたが、大丈夫そうだったので展望ブロムナードへ。言ってし
まえば広場みたいな感じですが、それが船の上となると一気に非
日常的になりますね。さらに煙突展望台に登って大海原を見渡す
と、海の男になったような気分です。

国鉄印の煙突は展望台になっている

展望台から大海原を眺める
 4階航海甲板から一気に1階の車両甲板へ。青函連絡船として
活躍していた時代は、ここで鉄道車両の輸送を行ってました。そ
れはそうと、車両甲板はかなり薄暗く、照明も必要最小限。この
独特な雰囲気に圧倒されてしまいました。歩いている人も自分以
外見かけなかったし。
 上の写真にも少し写ってますが、車両甲板の見所といえば何と
いっても本物の車両を保存しているところです。写真はキハ82。
車両甲板の中にいるというだけで存在感はかなりのもの。特急シ
ンボルマークが無いのはちょっと気になりますが・・・。
 キハ82の他にも、車両甲板には郵便車やDE10、「ヒ」などの貨
車も保存されています。ちなみに「ヒ」は控車のことをさし、車両
甲板に貨車を積み込む際に使用されました。

DLと「ヒ」

エンジンルームは迫力満点
 さらに地下1階に下り、エンジンルームへ。現役時代は八甲田
丸の巨体に乗客・荷物・車・汽車などを支え、動かしていたことか
ら、ものすごいパワーを持っていたことは容易に推測できます。そ
して八甲田丸見学のフィナーレを飾るに相応しい迫力です。
 というわけで船内を一巡して下船しました。動かない船での1時
間強のクルーズ。見応えはかなりありました。下船後は船の1エ
ンド側を撮影しました。間近で見るとかなりのデカさを感じることが
できます。
(船の前方はおそらく「1エンド」とは言わないと思いますが、適当
な言葉が見つからなかったため、機関車でよく使われる用語を
使ってみました)
 八甲田丸を後にして、次に向かったのは青森駅。駅のホームで
待つこと20分、DE10の牽引で寝台特急「あけぼの」が入線しまし
た。この列車を撮るためにわざわざ青森駅に戻ったというのは言
うまでもありません。余談ですが、「あけぼの」はかつて陸羽東線
経由で運転されていた時期がありました。その当時陸羽東線内を
牽引していたのはDE10だったので、それを知っている鉄道ファン
にとっては懐かしい光景だろうと思います。
 もちろんEF81側も撮影。EF81牽引の「あけぼの」は昨日秋田で
撮ったばかりですが、この列車は寝台特急であるが故にいつど
うなるか分からない状況。もし廃止が決まってしまうと、撮影する
鉄道ファンが殺到することは必至。なので、平穏な今のうちに撮
れる機会があれば撮っておこうというわけです。撮影者は10人ほ
どいました。というわけで今回の旅では撮るだけに終わってしまっ
た「あけぼの」ですが、いつか乗ってみたいな〜。
 そうそう、今夜は車中泊なんですよ。「あの列車」に乗る前にひ
とっ風呂浴びたいと思い、駅から5分ほど歩いて向かったのは「青
森まちなかおんせん」という温泉施設です。中はジャグジーや露
天風呂など、様々な種類のお風呂がありました。茶風呂とかいう
のもあったな。
 風呂上がりといえばやっぱりビン牛乳!幸運にもビン牛乳の自
販機があったので、そこでコーヒー牛乳を買って飲もうとしました。
しかしボタンを押し間違え、ごく普通の牛乳を買うというミス(苦笑
結局コーヒー牛乳を買い直すことになりました。間違って買った牛
乳ですか?責任を持って飲み干しました。
 風呂の後は昼食です。青森最後の夜。ここは青森らしい料理を
食べたいということで、アスパム内にある郷土料理のお店に入り
ました。そこで注文したのがホタテ刺し定食。1,400円と結構値段
は張りましたが、その分味は上々でした。しかしよくよく考えると、
昨晩もホタテ、今晩もホタテ。今日の昼に食べたのっけ丼にもホ
タテを入れるなど、まさにホタテ祭りとなった青森滞在中の食事
でした(爆
 食後の散策として青森ラブリッジを歩きます。それにしても「ラブ
リッジ」って・・・。名前からして明らかに恋人達のためにあるような
スポットですな。そんな所を1人寂しく歩く・・・。。。お約束といえば
お約束のような展開ですが、独り身の男の悲哀、ここにあり(笑
同じように1人で歩く男の姿を見ると、妙な安心感がしてくるのは
なぜでしょうか(爆
 またまた青森駅に戻りました。とはいえ、乗車する「あの列車」
の時間までまだ1時間以上あります。「何かネタな列車いないか
な〜」と思って駅のホームに出てみると、何かいるんですけど。
近くに行って見ると、「トワイライトエクスプレス」が停車中でした。
機関車付け替えのための運転停車なので時刻表にその時刻は
書いてありませんが、なるほどこの時間に青森を通るんですね。
 「トワイライト〜」を撮影した後は待合室で「はまなす」の入線を
待ちます。待合室には四国や九州の旅の思い出を語り合う中高
年の男性に、「名探偵コ●ン」を読んで爆笑している若者に・・・。
色々な人が思い思いの時間を過ごして「あの列車」を待っていま
した。
第7ランナー 札幌行き
201レ
津軽線・津軽海峡線・函館本線・室蘭本線・千歳線
急行「はまなす」
青森 札幌
22:42 06:07
 そしていよいよ「あの列車」・・・もとい急行「はまなす」が入線しま
した。これに乗れば寝てる間に北海道入りです。今や数少ない毎
日走る客車列車・・・というだけでも天然記念物級の価値は充分あ
りますが、それに加えてこの列車は寝台車連結、座席客車連結、
そしてJRの定期列車で最後の急行列車と、いくつものレア要素が
重なっています。ここまでくると神です。
 そういう列車なので、乗車する前にじっくり撮影したいと思うのは
当然のところ。ところがこの日の「はまなす」は夏休みシーズンと
いうことで10両に増結されていました。それだけならいいんです
が、機関車次位には例のマヤが・・・。。。そのためホーム前方の
結構カツカツな位置に停まっており、編成全体はファインダーに
収まらず。こういう感じの写真で勘弁して下さい・・・。
(この写真の号車番号を見ると「21」。列車編成で21号車というの
は天文学的な数字ですが、実はこれが増結車両。1号車と2号車
の間に増結されているから「21号車」というわけです)
 「普通・快速列車でしか乗れないはずの『北海道&東日本パス』
で急行列車に乗ってもいいのか?」と疑問に思う方もいると思うの
で補足しておきます。「北海道&東日本パス」には急行「はまなす」
に急行料金を追加で支払うだけで乗ることができるという特例があ
ります(もちろん指定席や寝台車に乗る場合は別途料金が必要)。
普通に「はまなす」に乗る場合運賃だけで1万円近くかかるので、
これは本当に大助かり。この特例のおかげで安く北海道に行ける
と言ってもいいです。
 「ドリームカー」に乗車します。「ドリームカー」は座席ではあるも
のの、リクライニングは深く倒れるのでグレードは結構高いです。
しかし繁忙期には、普段自由席として使われている、昔ながらの
簡易リクライニングシートを搭載した車両も平気で指定席車両と
なるので要注意。実際、座席予約でこういう「なんちゃって指定席」
の車両に当たりそうだと思った時、慌てて座席を変更してもらい
ました(笑
 ちなみに車内放送によると指定席(寝台車含む)は全て満席み
たいです。夜行列車が年々消えていく中、この「はまなす」が増結
されても指定席が満席になるほど盛況なのは嬉しいことです。
 こうして列車は青森を出発するのでした・・・。

■二日目総括

 ようやく「旅してるな〜」という感じになれた一日でした(昨日がアレすぎたので・・・)。最も印象に残ったのは八甲田丸。特に車両甲
板のあの特別な雰囲気は凄かった・・・。随分前から「青森に行ったなら行きたい」と思っていたスポットでしたが、期待を裏切りませ
んでした。それに、ゲリラ部隊の襲撃が無かったのは素直に安心した(笑
 明日はいよいよ北海道だ!


■今日の足跡
 通過駅数:62駅
 総移動距離:272.0km

 
※「はまなす」乗車時の通過駅・移動距離は、日付が変わってから最初の停車駅までを本日分としてカウントしています。

<三日目 その1>
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